数分かけて掘った穴にチョコを横たえて、土をかける。
全部が見えなくなった瞬間、少し涙が出た。
チョコ、と名前を書いた木の板を立てて、お墓は完成。
隣で手を合わせて目をつむる弓槻くん。
私も同じように、黙祷を捧げた。
チョコが来世で幸せになりますように。
チョコの埋葬を終え、しばらく暗い雰囲気が漂っていた部室で、弓槻くんが口を開いた。
「人も猫もいずれは死ぬ。今がそのときだっただけだ。チョコは年齢的にも十分に長生きしたと思う」
「でも……」
やはり命が消えてしまったことに変わりはない。
ただ、弓槻くんの言葉は紛れもなく正論で。
「悲しんでばかりもいられない。今できることをしよう」
長い間チョコをかわいがっていた弓槻くんがそう言っているんだ。たった一回会っただけの私がくよくよしていてどうする。
「うん。それで、今日なんだけど――」
私は、今朝よみがえった記憶を話した。
「お互いにそんなふうに思っていたのか。強い気持ちを感じるな。生まれ変わるだけはある。それに、両親が離婚しそうなのがシロちゃんのせい、というのも気になるな」
「うん。私にはさっぱりだけど、月守風香はその理由を知っていたような反応だった」
もう一度その理由を考えてみたけど、やはりわからなかった。推測すらできない。