「初めて会ったときから、ずっと好きだった。風香となら、ずっと一緒に生きていけるって、風香は僕の運命の相手だって、そう思ってた。おかしいよね。まだ付き合ってもないのに。ごめん、今のは忘れて」
シロちゃんは苦笑する。
「じゃあ、付き合おうよ。それで、結婚しよう。二人で、デートして、ケンカして、泣いて、たくさん笑って、ずっと一緒にいよう。どっちかが死ぬまで、一緒にいよう。二人とも死んだら、来世でまた会おう。おかしくなんかないよ。わたしも同じ気持ちだもん」
ずっと言いたかったことを、一気に言うことができた。
「ありがとう、風香」
彼の目尻から、光る水滴が流れて、頬を伝った。
「シロちゃん、泣いてるの?」
「あれ、本当だ。気づかなかった」
彼は手の甲で涙を拭う。
「何かあったの?」
「最近ちょっとつらいことがあってね。風香に聞いてほしいな。でも、嫌われるのは怖い」
「ううん。大丈夫だよ。何があっても、わたしはシロちゃんの味方だから」
シロちゃんは軽く目を伏せてから、ポツポツと言葉を紡いだ。
「……実は、うちの両親が、離婚しそうなんだ。僕のせいでもあるんだけどね」
悲しげに話すその様子に、わたしまで泣きそうになってしまう。
「毎晩のように言い争いが繰り返されて、父親が大声で怒鳴ったり、母親が泣き出したり……」
そんなシロちゃんの独白を、わたしは黙って聞いていることしかできなかった。
それはシロちゃんのせいじゃないって、本当は言いたかったけれど、本人だってそんなことはわかってるはずなんだ。