運命って、なんだろう。

 運命なんて変えてやる! なんてよく言うけど、運命が変わることも運命のうちじゃないのかな。そうだとすると、変える前の運命は運命じゃなくなっちゃうから、その台詞は間違ってて……。

 ああ、もう。わからなくなってきた。

 運命といえば、赤い糸。

 でも、運命の相手なんてものは、都合のいい絵空事だ。

 たまたま出会って好きになっただけの人を、あたかも出会うことが定められていたかのように〝運命の人〟なんて呼んで、ありもしない必然性を作ってしまう。

 それでも人は、運命を信じたくなる。

 人生に、素敵なロマンを求める。

 私もそんな大多数の中の一人だ。

 果たして、私の運命の相手は、誰なのだろう。

 糸なんて少しも見えない、自分の小指を見て思った。