ズビッと鼻をすすり、ゴシゴシと目を擦る。きっと今のわたしは目も鼻も真っ赤になっているんだと思う。
苦しいし、寂しいし、辛いけど、でも。
「餃子作ろ!」
「えぇん……にっちゃん無理しないでよ……?」
「無理じゃないよっ!大丈夫大丈夫!あーお腹減ったー!」
わたしにはわたしの今がある。
餃子を一緒に作ってくれる友達も出来たし、根拠の無い「大丈夫」を、自分自身に向けるくらいの心も持っている。
貴方が居なくても、わたしはもう大丈夫。
もうこの先、綺とは会うことも話すこともないけれど、どうか健康で穏やかな日々を過ごしていることを、陰ながら祈っているから。
今までたくさんごめんね、たくさんありがとう。
「にっちゃんが言うなら深くは聞かないけどぉ……よーし!いっぱい食べて泣いちゃうようなことは全部取っ払おう!」
「よーし!お肉いっぱい詰めちゃおっ」
「いいねいいねっ!こっちはイカタコ入れちゃう」
「海鮮餃子!最高!」
────さよなら、どうか元気でね。