知らなかった、お前をこんなにも好きになるなんて…


「走りに行きたいとこだけど……っとやめておくかなー」

愛美に睨まれた

「足じゃないからって思っても走る振動は手にくるからやめて下さーい」

「はい……じゃあ、シャワーする」

斗真は風呂場へ向かった

愛美はナイロン袋と輪ゴムを持ち風呂場に後から追いかけた

ドアを開けると斗真が服を片手で脱いでいた

「あっ、一緒に入る?」
「入らないよ(笑)恥ずかしいもん」

「いつも見てるじゃん」
「……それとお風呂は別!」

愛美は上半身裸の斗真に包帯が濡れないようにナイロンをつけた

「頭洗えっかな」

「あー、じゃあ、Tシャツと短パンに着替えてくる

ちょっと待ってて、あっ、下はタオル巻いててよ」

パタパタと走って行きすぐ戻ってきた

「よし、じゃあ入りますか」

「うん」

「頭洗いまーす、シャワーぶっかけちゃって平気?」

「俺子供じゃねーし」

「わしゃわしゃー、おー、泡立つ泡立つ(笑)お客様、痒いところはないですかー」

「ないよ、お前遊んでるだろ」

「楽しいねー、身体洗いマース」

背中をごしごしと洗う

「前も洗ってくれんの?」

「そこは右手でお願いしマース」

「えー、愛美も入れば?」

「ダメダメ、お母さん帰ってきちゃう、はい、終了〜」



玄関が開く音がした

「あっ、お母さんかな、じゃあ自分で出てきてね〜」

「全く……背中拭いてから行けよな(笑)」

「おかえりなさい、お疲れ様です」

「ただいま、遅くなってごめんなさい、斗真怪我したって?」

「捻挫みたいですけど、まだ腫れてるので湿布して包帯してます」

斗真が風呂場からため息をついて出てきた

「どうしたの斗真」

「愛美に頭を洗ってもらったけどおもちゃにされた」

「そう(笑)まあ、捻挫ならよかったわ」

「よくないし」

「疲れたわー、シャワーして呑もっと」

斗真は湿布を出してきた

「愛美、変えて」
「はーい」

「嬉しそうにしてさ……」

「楽しいね、ちょっと斗真が動けないから優位にたった気分だけど……

心配だったよ、他の子の為に怪我してさ……」

愛美は斗真の湿布の上に手を置いた

「愛美……」

「まぁ、それが斗真の優しくて凄いところなんだけどね」

「うん……早く治す」

「愛美ちゃん、シャワーしてきていいわよ」

「はーい、お借りします」