知らなかった、お前をこんなにも好きになるなんて…


「どうしたの?斗真」

周りにあまり人もいなかったので愛美から声をかけた

斗真の自転車の後ろには女の子が乗っていた

「あっ、怪我して」

「斗真が怪我させたの?大丈夫ですか?」

愛美に背を向けて乗っていた女の子は首だけこちらに向けた

「あの……怪我はしたけど、嶋本くんのせいじゃないよ」

「そう……斗真がついてるから斗真が怪我させたんだと思って……ごめん」

「こいつは同じクラスで野球部のマネージャーなんだ

自転車置き場で隣の自転車が倒れて足を怪我したんだよ

1番近くに俺がいたから保健室行って家まで送れって先輩に言われたから行ってくるな」

「うん、気をつけてね、お大事に……」
「ありがとう」

斗真は自転車を押して門を出た

「華、行こ」
「うん……」



「足、まだ痛いか?」
「少し……ごめんね、練習遅らせちゃって」

「んー、別にいいよ」
「今の嶋本くんの彼女だよね?今日教室に来てた子」

「そうだよ、辞書忘れてさぁ(笑)」

「お昼に男子の話が聞こえてきてね」

「あー、向井は声がでかいからな」

「まなみって言うの?」

「うん」

「私と同じ名前なんだなって……」