知らなかった、お前をこんなにも好きになるなんて…


昼休みになり6組を覗く

「いる?」

華もひょっこり顔を出して覗く

「うん、あの人ごみの中」

5、6人の集団の中に斗真を見つけた

斗真は愛美に気づいてくれて手に持っていた辞書を持ち入口に歩いてきた

愛美は急いで廊下に出る

斗真が立つと他の男子の視線があるから愛美は恥ずかしい……

「はい、辞書」

愛美の頭にコツンと軽くぶつける

「ありがとう、すぐ返しに来るね(笑)

あっ、石田華ちゃんだよ」

「あー、愛美から聞いてる、愛美の面倒を見てやってね(笑)迷惑かけると思うけどさ」

「はい、もちろん!」
「えー、どういう事?」

「こいつ、子供だから(笑)」
愛美はぷぅーと拗ねた

もう〜と言いながら戻って行った

「斗真くん、愛美の事大好きじゃん〜かっこいいしさ」

「うーん、恥ずかしいんだよね、私ってホント人見知りなのね……

斗真は誰とでも仲良くなれる人で斗真の周りには沢山の人がいるのよ

何でそんな人が私と付き合ってるんだろうって時々思うんだよね」

「でも、向こうからなんでしょ?」

「まぁ……積極的にきてはくれたかな」

斗真も友達の中に戻った

「斗真の背中でさ、彼女の顔見えなかったじゃんかー」

新しく出来た向井(むかい)という友達が話しかける

「別にいいだろ、見なくても」

隣にいた女子の集団が耳をすます

「嶋本くん、彼女がいるんだね」
「かっこいいもんね」

「あー、愛しの愛美ちゃん、見たかったー」

「やめろ、声がデカい」

「まなみだって、ねっ、まなみと同じ名前だね」

「そうだね(笑)」

「向井が名前で呼ぶなよな、名前で呼んでいいのは俺だけだし!」

「うわっ、斗真って束縛するタイプなんだ」

「名前呼ぶのと束縛は関係ない……」

「じゃあ、紹介しろよ」

「紹介はしない」

周りにいた男子は2人のやりとりを笑って聞いていた

「ちぇー、稔は知ってんだろ?」

「もちろん、同じ中学だから、野本もな」

「知ってる(笑)」

「美人?」

向井はしつこく聞いていく
稔と野本は顔を見合わす

「普通……うーん可愛い系?」

野本が答えた


「何だよ、普通じゃねーよ、超可愛いよ」

「稔は?」

「まあ、タイプ的には小さいから可愛いって感じかな、彼女が出来た時は凄い騒ぎだったな、相手を隠すからさ」

「それは愛美を守るためだし」

「斗真ってかっこいいもんな、モテるだろうし、俺も一目惚れだわ(笑)」

「やめろ(笑)」