夜10時に斗真から電話がかかる

「今帰ったよ、疲れたー」

「お疲れ様、やっぱり野球部は遅いね」

「風呂入るな」
「うん、お休み〜」

入学式以降会えない日々が続く

「愛美」
「ママ、何?」

「土曜日の部活は?」
「午後からだけど」

「金曜日に初ちゃんとこに行くからね、愛美の誕生日お祝いしてくれるって」

「わーい、ケーキ食べれる?」

「この間の斗真くんの時のケーキをあなたが喜んでたから用意してくれるって」

「あそこのチョコケーキ美味しかったから嬉しい〜、行ってきまーす」

斗真くんと会えるのを喜ぶかと思ってたのにケーキを喜んでる
大丈夫かしら……

金曜日の夜斗真の家に2人はやってきた

「いらっしゃい、愛美ちゃんは10時まで待ってね」
「はい」

夕食を3人で済ませた

「何か全然学校でも斗真と会えてないんだってね」

「そうですね……全校集会とかは少し見ますけど話してはないですね」

「LINEとかは?」
「帰ったらLINEくれますね」

「もう、帰ったらお風呂はいって宿題で精一杯って感じよ、朝も早いしね」

「お弁当もじゃあ、早くいれなきゃだわね」

「もう、冷食入れまくりよ(笑)おにぎりも別に作っておかないと夜まで持たないのよ、練習前に急いで食べるらしくて」

10時になり玄関の開く音がした
あっ、帰ってきた

「ただいま」
「おかえりなさい」

「おかえりなさい、斗真くん」
「こんばんは、シャワーしてくる」

「ケーキ出してくるわね」

愛美の大好きなチョコケーキがテーブルに並ぶ

斗真もタオルを頭にのせてダイニングにやってきた

「じゃあ、少し早いけど愛美ちゃん、お誕生日おめでとう」

「おめでとう、愛美」

「ありがとうございます」

「2週間なのにずいぶん会ってないような気がするな」

「そうだね、昔に戻った感じ」
「昔って?」

「2年の頃」

「それはまだ付き合ってない時じゃん、俺の存在を忘れてるって事が言いたいのか?」

「斗真、そんな言い方をしない」

「……ごめん、ご馳走様」

斗真は部屋に上がって行った

「愛美が変な事言うからよ」

「斗真ね、愛美ちゃんに会えないってずっと言っててちょっとイライラしてるのよ、優しい言葉かけたらすぐご機嫌になるから」

「すみません」

愛美はケーキを食べ終えると斗真の部屋に行った