愛美が帰った後に斗真は走りに行った
時々走りながら自分でも顔がニヤついていたのは自覚できた
家に着くと鍵が開いていた
兄貴か……
斗真がリビングに行くとシャワーから幸司朗が出てきた
「おかえり」
「ん、ただいま、シャワー使う?」
「うん」
「斗真、今日誕生日なのに夜いなくて悪いな、大学の野球部の呑み会でさ」
「あっ、ううん、大丈夫、愛美とママが来る」
「そっか、泊まるのか?」
「いや、母さん達が仕事だから今日は泊まらない……あのさ……えーっと」
「ん?どした」
「今日、離任式だったんだよ……で野球部の先生も異動で……」
「あー、そっか、まあ、俺らの時からだからそろそろ異動でもおかしくないか
どした、何か言いたそうだな」
「あの……この前もらったやつを使わせてもらった……あ、ありがとう」
斗真はそう言うとシャワーに駆け足で行った
「全く……わざわざ言わなくても……フッ、可愛い奴」
夜になると愛美とママがやってきて斗真の大好きな唐揚げが届いた
「うまっ!ご飯がすすむ、おかわり」
愛美が唐揚げをモグモグしている間に斗真はご飯のおかわりを要求していた
「いつも食べるの早いね、斗真」
「愛美が遅いんだよ、どれだけ噛むんだよ(笑)」
「よく噛まなきゃね」
「斗真は昔から食べ始めると無言で一気に食べるからね、そしてソファで寝転がるの、運動止めたら太るかも(笑)」
「兄弟で取り合いとかはなかったの?」
「幸司朗が甘すぎて斗真がじっと見てるとあげちゃうのよ」
「斗真は酷いな〜」
「んなこと覚えてねぇよ」
「男の子同士なのにケンカしないの?」
「多分他の家庭の兄弟よりはしてないと思う」
「そうなの?斗真、お兄さんの事好き?」
「まぁ、俺が怒るとなだめてくれるかな
あと仲がいいというより兄貴には勝てねぇと解ってからあんまりケンカはしなくなった」
「斗真くんはじゃあ誰に怒るの?」
「えー……」
母親を指さした