「声かけていいかな?」

「でも無視する訳にも……」

斗真は聞き覚えのある声で後ろを向いた

「あっ、こんばんは斗真先輩!」
「ちわーす!」

「何だ、お前らか」

野球部の2年生だった

「彼女さんといるので声かけてもいいのか迷って」

「別にかまわないよ、もう教えたんだから」

「はい、じゃあ、失礼します」

2人は頭を深く下げて2人の後ろ姿を目で追っていた

愛美は斗真の方を見た

「野球部の2年生だよ」

「斗真ってさ、後輩に慕われてかっこいいよね」

「愛美だって後輩いるじゃん」

「う〜ん、でも私は後輩の方がしっかりしてるから、頼りない先輩じゃないかなぁ」

「そんなことないよ」

斗真は愛美の肩に手をまわして歩き始めた

カシャ
「どうしよう、思わずお似合いで撮ってしまった」

「2年生だけのLINEに送ろうぜ、かっこいいな、斗真先輩」


‘’夜市で斗真先輩発見!彼女さん可愛かった‘’
‘’そうそう、彼女さん浴衣着てて小さくて細くて斗真先輩も声かけてくれた‘’
‘’後ろ姿でも絵になるな、マジで斗真先輩リスペクト‘’

野球部の2年生のLINEが賑わいだした


「あの後ろ姿って斗真くんじゃない?背が高いから目立つ」

「えっ、どこ?」

クレープを買っていた亜子が振り向いた

「多分そうだと思う、話してるから誰か隣にいるみたいだけど」

「彼女じゃない?」

愛美と同じバド部の沙耶がクレープにかぶりつきながらやってきた

「もう少し近づこ」

3人は斗真に近づこうと少し歩くペースをあげた


「愛美かな?あの後ろ姿」
「うそー」

「沙耶、バド部なのに知らなかったの?愛美に彼氏出来たとか」

「うーん、愛美って男子と話すとこあまりみたことないし、自分の事もあまり話さないからな」

「あっ、Mって愛美のMだったんだ」

亜子は携帯を出して愛美のステータスを見る

「ありがとう♡って斗真くんのステータスの返事だったんだ……」

「これは想像つかなかったね、意外、ねっ、沙耶」

「うん、愛美からは性格的に告ることはないと思うよ

多分斗真くんからの方だと思う

それにさ、あれだけ告られても付き合わなかった人が告ったんなら亜子は諦めなよ

愛美はいい子だし亜子には悪いけど私は応援するかな」

「私、中学入ってからずっと好きだったのに……」

「でも……振られてるんだし私も諦めた方がいいとおも……ちょっと亜子!」

2人の言うことも聞かず亜子は斗真に声をかけた