映画に行く日がやって来た

「どうしたの?眼鏡、目が悪いの?」
「いや、変装」

「(笑)別に普通でいいよ、何で?」

「誰か同級生に会うかなって」

「会ったらまずいの?」

「……いや、そういう訳じゃないけど」

そっか、俺の事を知らないって事は俺がモテることも知らないのか

自分だけか、誰かに見つかったらヤバいと思ったのは

いや、でも俺に告ってきた子とかに会うのはやっぱり気まずい

色々考えてると目の前にお金があった

「はい、チケット代」
「いや、誘ったの俺だしいいよ」

「ダメだよ親に取ってもらったんでしょ」

石川は俺の手にお金を握らせた

「じゃあ……サンキューな」
「うん!入ろう」

映画館から出ると愛美は斗真の後ろにずっといた

「どうした?」
「見ないで……」

斗真が後ろを向こうとするとよけてすぐ後ろに回る

「感動したよな?」
「うん……ぐすっ……もう少し前向いててよ」

「いいよ、俺の背中貸してやる(笑)」

暫くすると鼻をすする音は消えた

「もう、大丈夫、ありがとね」