日曜日、午前中の部活を終えて午後からはベッドでゴロゴロ、夕方になりそろそろ走りに行くかなと思い着替える

野球部のエースで4番は自分の努力でもある

野球が本当に好きな俺はやるからには一生懸命努力はする、毎日のランニングは日課になっていた

今日はちょっとコースを変えて、距離を伸ばしてみようかな

俺はいつもとは逆の方に走っていった


いつもと違う景色だし、道も広い、走りやすいなとキョロキョロしながら走っているとラケットを後ろに抱えた小さな女子生徒が歩いていた

テニス部?いや、テニス部は午前中一緒の練習時間だった

じゃあ、バドミントン部?そして後ろ姿はもしかして石川?久しぶりに動揺した

このペースで走ると石川を追い抜く
いや、追い抜いてもいいんだが……ん?


前から自転車が走ってきていて石川に近づく

何だ、あいつ……俺はスピードを上げていた

自転車の男は石川を大きな声で驚かして去っていった

びっくりした石川はその場にしゃがみ込んだ

「おい!大丈夫?」
肩が震えている

「落ち着いて、石川……」

俺は石川の背中を軽くポンポンと触った



私の名前……誰?愛美はゆっくり顔を上げた

うるうるしてる石川を見てこういう時でも可愛いと一瞬思ってしまっていた

「大丈夫?石川……」
俺は優しく声をかけた

「私の事……知ってるの?」

「うん、同じ2年生だよ、えっと前に征史郎とハンバーガーショップで会ったかな」

「……後ろにいた人」

「うん、そうだよ、立てる?」

俺は石川の両腕を持って立たせた

細い腕だな……

「あ、ありがとう……あれ?」

石川の目からは涙がポロポロと流れてきていた

「怖かったよな」
「ご、ごめん……なさい」

俺は持っていたタオルで涙をおさえてあげた

「人が通るから少し落ち着くまで少し休む?」

俺は走っていた道を少し戻り違う道に入った

「タオルごめんなさい、私も持っていたのに借りちゃって」

「いや、俺が渡したんだから気にしないで」

「洗って返す」
「まだ走って帰るから使うからいいよ」

「でも……」
「本当にいい……ねぇ、俺の事は知ってる?」

「ごめんなさい……知らないです」

やっぱりな……