——凌牙さんに動画を見せてもらった日の夜。

『話が見えないな。篠崎くんが、僕の協力をする?』
 混乱している様子の水島くんに、僕は話を続けた。

「水島くん、この前言ってたイベントのポスター、まだできてない?」
『ああ、できてないな。さすがに当日が迫っているから、もうなしにしようと思っているよ』
「それさ、僕に作らせてくれないかな?」
『え?』
「画材はなんでもいい?」
『そうだね……見えやすいものであれば、ある程度なんでもいいと思う。もともと担当だった先輩は、水彩絵の具を使うつもりだと言っていたな』
「それならぴったりだ。ぜひ僕にやらせてほしい」
『ありがとう。先輩方に聞いてみるけど、きっと喜んでくれると思う。ただ、それで篠崎くんにとってのメリットは……』
「ひとつだけ、僕から生徒会のみなさんにお願いがある。完成したポスターを、イベント前に一度僕に持ち帰らせてほしい。見せたい相手がいるんだ」