頭上の空がすっかり群青色に染まった頃、色鉛筆を置いてスマホの時計を確認した。
やろうと思っていたことを実行に移す時刻が近づいていると気づき、スケッチブックを閉じる。
画材をしまおうとスクールバッグのファスナーを開けた途端、目に映った青い袋を見て、はっとした。
「そういえば」
ひとり呟きながらスクールバッグを開き、遥奏がくれた「お礼」を取り出す。
金色のカラータイを解き、中身を掴んで袋の外に出した。
……なるほどな。
僕の左手に握られたそれは、思わずため息が出るほどに腑に落ちるプレゼントだった。
「さてと」
金属製の冷たいそれに僕の体温を覚えさせながら、空いている右手でスマホを操作し、LINEを開いた。
最終下校時刻間際。ほとんどの部活動生がちょうど校舎を出る頃。
受話器のマークをタップしてスマホを耳に当てると、案の定、テニス部の友達は電話に出てくれた。
「もしもし」
「もしもし、水島くん、今大丈夫?」
「うん、どうしたんだい?」
「今日は、話を聞いてくれてありがとう。水島くんのおかげもあって、僕の中で整理がついたよ」
「そうか、それはよかった」
「でね、水島くんに協力してほしいことがひとつあるんだけど」
「具体的には?」
矢のような突風が、スマホで塞がれていない方の耳に入り込んできた。
全身が風船のように膨らむのを感じながら、僕は切り出した。
「僕が水島くんの協力をする」
やろうと思っていたことを実行に移す時刻が近づいていると気づき、スケッチブックを閉じる。
画材をしまおうとスクールバッグのファスナーを開けた途端、目に映った青い袋を見て、はっとした。
「そういえば」
ひとり呟きながらスクールバッグを開き、遥奏がくれた「お礼」を取り出す。
金色のカラータイを解き、中身を掴んで袋の外に出した。
……なるほどな。
僕の左手に握られたそれは、思わずため息が出るほどに腑に落ちるプレゼントだった。
「さてと」
金属製の冷たいそれに僕の体温を覚えさせながら、空いている右手でスマホを操作し、LINEを開いた。
最終下校時刻間際。ほとんどの部活動生がちょうど校舎を出る頃。
受話器のマークをタップしてスマホを耳に当てると、案の定、テニス部の友達は電話に出てくれた。
「もしもし」
「もしもし、水島くん、今大丈夫?」
「うん、どうしたんだい?」
「今日は、話を聞いてくれてありがとう。水島くんのおかげもあって、僕の中で整理がついたよ」
「そうか、それはよかった」
「でね、水島くんに協力してほしいことがひとつあるんだけど」
「具体的には?」
矢のような突風が、スマホで塞がれていない方の耳に入り込んできた。
全身が風船のように膨らむのを感じながら、僕は切り出した。
「僕が水島くんの協力をする」