——そういえば、今日の帰り際のこと。
階段を降りてそれぞれの家路に分かれる直前、遥奏が「そうだ!」と言って僕の顔を見た。
「この前チラシ作ってくれたお礼、今日渡そうと思ってたのに忘れちゃって! 明日河川敷に持ってくるね!」
「お礼なんていいのに。ちなみに、何くれるの?」
「ひーみーつ!」
「あっそう」
言ってくれそうになかったので、僕はそれ以上聞かないことにした。
「楽しみにしといてね!」
二重まぶたを柔らかく曲げて、遥奏はそう言った。
※ ※ ※
紙クロスの天井を見つめながら、明日河川敷でどんな出来事が起こるのか想像する。
遥奏はいったい何を持ってくるんだろう。
作曲してきたから一緒に歌おう、とか言われたら大変だな。
けれども、悔しいながら、もしそうだとしてもなんか面白そうだと思っている僕がいた。
まあいいや。
遥奏の行動はいつも予想がつかない。考えるだけ無駄だろう。
どうせ明日にはわかることだし。
「おーい、秀翔」
リビングにいる父さんから名前を呼ばれて、僕は立ち上がりドアを開けた。
階段を降りてそれぞれの家路に分かれる直前、遥奏が「そうだ!」と言って僕の顔を見た。
「この前チラシ作ってくれたお礼、今日渡そうと思ってたのに忘れちゃって! 明日河川敷に持ってくるね!」
「お礼なんていいのに。ちなみに、何くれるの?」
「ひーみーつ!」
「あっそう」
言ってくれそうになかったので、僕はそれ以上聞かないことにした。
「楽しみにしといてね!」
二重まぶたを柔らかく曲げて、遥奏はそう言った。
※ ※ ※
紙クロスの天井を見つめながら、明日河川敷でどんな出来事が起こるのか想像する。
遥奏はいったい何を持ってくるんだろう。
作曲してきたから一緒に歌おう、とか言われたら大変だな。
けれども、悔しいながら、もしそうだとしてもなんか面白そうだと思っている僕がいた。
まあいいや。
遥奏の行動はいつも予想がつかない。考えるだけ無駄だろう。
どうせ明日にはわかることだし。
「おーい、秀翔」
リビングにいる父さんから名前を呼ばれて、僕は立ち上がりドアを開けた。