ここを渡る時。段差の広い階段に足をかける時。まばらに通る夜の自動車のヘッドライトを上から見下ろし、反対側の階段に行き着いて、最後の一段を下りる時。
凪はお目当ての対象人物を見つける。
その人は、真夜中の公園にいつも現れるのだ。
(今日も俺より先に着いてる)
間隔のおかれた常夜灯に照らされて、Y公園の広場は、まるで見知らぬステージのように妖しく不思議な空間と化している。
昼間にも時々、ここに吸い寄せられる者を見かけるけれど、明け方にも近い時間帯にまで出没する輩は、凪の知る限り彼女一人しかいない。
(女の人が真っ暗な公園で一人きり……。日本じゃなかったら殺されてるな。まあ、俺には関係ねえけど)
凪はおもしろ半分で、一心不乱に身体を動かす彼女の、真剣な表情を盗み見る。
年齢は自分と近いか、あるいは年下かもしれない。暗くてよくわからないが、上体のキレと全身からあふれるフレッシュなエネルギーが、彼女を二十歳そこそこの若者だと語っているように取られた。
凪はそそくさと、彼女の姿を一望できる特等席に向かった。自販機が数台設置されてある、常夜灯の近くの長ベンチだ。
凪はお目当ての対象人物を見つける。
その人は、真夜中の公園にいつも現れるのだ。
(今日も俺より先に着いてる)
間隔のおかれた常夜灯に照らされて、Y公園の広場は、まるで見知らぬステージのように妖しく不思議な空間と化している。
昼間にも時々、ここに吸い寄せられる者を見かけるけれど、明け方にも近い時間帯にまで出没する輩は、凪の知る限り彼女一人しかいない。
(女の人が真っ暗な公園で一人きり……。日本じゃなかったら殺されてるな。まあ、俺には関係ねえけど)
凪はおもしろ半分で、一心不乱に身体を動かす彼女の、真剣な表情を盗み見る。
年齢は自分と近いか、あるいは年下かもしれない。暗くてよくわからないが、上体のキレと全身からあふれるフレッシュなエネルギーが、彼女を二十歳そこそこの若者だと語っているように取られた。
凪はそそくさと、彼女の姿を一望できる特等席に向かった。自販機が数台設置されてある、常夜灯の近くの長ベンチだ。