「夢を追うのはもうやめる。ダンスは趣味で続けることにした。就活しなきゃ。来年三年生だし」
「ハタチじゃん」
息せき切ってこぼれ出すわけのわからない感情に押されて、凪は反論した。弱気になる彼女の顔を見るのが我慢ならなかった。
「キラキラの成人じゃん。ピチピチの女子大生じゃん」
「……バカなの? その世界じゃもう遅いんだよ」
「小便くさいガキなんか相手にするな。色気もへったくれもねえ小娘になんか真似できない、お前自身の魅力ってもんがあるだろ」
まゆの瞳は冷え切っていた。凪が強気な姿勢を見せれば見せるほど、かえって表情が暗くなっていく。
(何でだよ)
一向に理由が見当たらず、凪は感じたことのない不安と憤りを抱いた。
「やたらと私の肩持つね」
まゆは拗ねたように顔をそらす。
「そりゃあな、恋人だし」
当てつけのように言ってやると、今度こそ重い空気が流れた。凪が最も苦手とする、張りつめた意識のせめぎ合いが、肌に痛かった。
「何か言えよ」
「凪にあげられるものは、もう何も残ってない」
「……は? 何だよそれ」
すごむ勢いで、強く尋ねる。まゆは沈黙を貫く。
「ハタチじゃん」
息せき切ってこぼれ出すわけのわからない感情に押されて、凪は反論した。弱気になる彼女の顔を見るのが我慢ならなかった。
「キラキラの成人じゃん。ピチピチの女子大生じゃん」
「……バカなの? その世界じゃもう遅いんだよ」
「小便くさいガキなんか相手にするな。色気もへったくれもねえ小娘になんか真似できない、お前自身の魅力ってもんがあるだろ」
まゆの瞳は冷え切っていた。凪が強気な姿勢を見せれば見せるほど、かえって表情が暗くなっていく。
(何でだよ)
一向に理由が見当たらず、凪は感じたことのない不安と憤りを抱いた。
「やたらと私の肩持つね」
まゆは拗ねたように顔をそらす。
「そりゃあな、恋人だし」
当てつけのように言ってやると、今度こそ重い空気が流れた。凪が最も苦手とする、張りつめた意識のせめぎ合いが、肌に痛かった。
「何か言えよ」
「凪にあげられるものは、もう何も残ってない」
「……は? 何だよそれ」
すごむ勢いで、強く尋ねる。まゆは沈黙を貫く。