外の景色はだんだん中規模のビルやショッピングセンターに移り変わっていく。目的地が近づいている。行きたくないのに、行きたいと望んでいる。
出会わなければよかったとさえ感じていた。
蝶野まゆを、知りたくなかった。
電車は駅に到着する。
懐かしい街並みと、どうにも垢抜けないホームの外観。
凪は足早に階段を下りる。エスカレーターを使うのもじれったかった。
Y公園には先客が何名もいた。知らない間に有名スポットになったようだ。夜の初めの時間帯だからか、あの時散歩をしていた季節柄、たまたま空いていただけだったのか。
数人で台詞の掛け合いを練習する役者の卵たち。敷地内をジョギングするランナー。ブレイクダンスを習得しようと励む若者。夢を追う人間たちで満ちたY公園の、奥の方の窪まった場所――まるでステージのように見える広場だ――そこに、彼女を見つけた。
初めて会った時と変わらない、強くしなやかな踊り。圧倒的なリズム感を見せつけるような身のこなし。自身の生きてきた道程を誇りに思う者だけが持つ、エネルギッシュな魅力があふれていた。
あの頃の、怒りに任せた動きではなかった。
出会わなければよかったとさえ感じていた。
蝶野まゆを、知りたくなかった。
電車は駅に到着する。
懐かしい街並みと、どうにも垢抜けないホームの外観。
凪は足早に階段を下りる。エスカレーターを使うのもじれったかった。
Y公園には先客が何名もいた。知らない間に有名スポットになったようだ。夜の初めの時間帯だからか、あの時散歩をしていた季節柄、たまたま空いていただけだったのか。
数人で台詞の掛け合いを練習する役者の卵たち。敷地内をジョギングするランナー。ブレイクダンスを習得しようと励む若者。夢を追う人間たちで満ちたY公園の、奥の方の窪まった場所――まるでステージのように見える広場だ――そこに、彼女を見つけた。
初めて会った時と変わらない、強くしなやかな踊り。圧倒的なリズム感を見せつけるような身のこなし。自身の生きてきた道程を誇りに思う者だけが持つ、エネルギッシュな魅力があふれていた。
あの頃の、怒りに任せた動きではなかった。