だがそう思ったところで、あれ以来まゆとは一度も連絡を取っていない。ほぼ関係は途絶えている。もはや自分と彼女をつなぐ糸は切れているのかもしれない。凪はほとんどあきらめていた。

 今さら何か言ったところで。
 凪は動画サイトを閉じ、出勤の準備を始めた。


「彼女と別れたん?」

 異動先でさっそく仲良くなったメンバーと休憩時間の談笑をし、相手から痛い言葉をかけられ、凪はどきりとした。

「えー、自然消滅かなあ」

 視線を泳がせて半笑いを浮かべる。

「あんたから連絡してやったら?」
「うーん、気分が乗らなくて」
「うわ、サイテー」

 メンバーの新田(にった)は眉をひそめ、女たらしは困るわーと小言をくり返す。

「あいつの進む道には将来性が感じられないんだよ。次は堅い女を捕まえないと」
「誰かー。ここにクズ男がいまーす」

 新田は大仰に息を吐き、自作の弁当を広げて箸を動かす。ウインナーをはさみ、凪のカップ麺にポイッと放り投げる。

「あげる。私からの慰めとして。栄養ないでしょ、その量じゃ」
「何だよそれー」