面倒くさがられた。

いちいち相手にしてたら、肝心の執筆が進まない。

絶対そう思われた。


お風呂に入った後、髪を乾かしながら、明日、塾に行く準備をする。

いつもはここで、宿題忘れたとか、辞書がない参考書がないだの騒ぐけれども、我慢する。

もう先生の邪魔はしたくない。


そう言ってる矢先に、早速明日使う辞書が行方不明。

あ〜あ。

私、何やってるんだろう。


軽くため息をつきながら、辺りを探す。

確か日中、ここで使った気がした。

早く探さなきゃ。

でなければ、また先生の、


「何探してんの?」

ほら、始まった。

「あっ、いや。自分で探します。」

「一人で探すより、二人で探した方が、早いだろ。」

そう言って先生は、執筆している手を止めて、私の側に来た。

「で?何?」

黙っていると、私のバッグの横を、右や左に体を揺らしながら詮索。

「もしかして、辞書?」