「……でも先生と再会して。なんかそんな事に悩んでいる事がバカらしく思えてきました。」

「なんだよ、それ。」

温かい日差しの中、先生とゴロゴロしながら、二人で笑った。


「人生って、自分の考えでいつでも変えられる。だから今は、目の前にあるモノに集中しようかなって。」

「そっか……」

すると先生は、今度は突然起き上がった。

「さあってと。俺も目の前の事に集中するか。」

大きな欠伸をしながら、腕を伸ばして、先生はテーブルの上にある原稿用紙を拾い上げた。


「主人公の名前。藤沢の名前、もじって『真依』にしたんだよ。」

「そんな勝手に、」

「ごめんごめん。」

謝られても困る。

きっとその小説を書いてる姿見る度に、その事を思い出してしまいそうになる。


「芽依って、いい名前だよな。」

照れる。

すごく嬉しい。

私も自分の名前、好きだから。