「もう、嫌‼」

私は今を飛び出し、寝室の扉を勢いよく閉めた。

「どうしたあ?また機嫌わるくなったかあ?」

扉をドンドン叩きながら、棒読みのセリフ。

全然反省してない。

「やることなすこと、全部小説に書かないで‼」


シーンとなる扉の外。

何? 何を考えてるの?


「そうだよな。嫌だよな。」

やけに素直な先生だな。

「でも俺、恋愛も数えるしかしてないし。ましてや生徒との関係なんて初めてだし。」

先生から初めてって聞くと、なんだか顔が赤くなる。

「だからその、これからも書いてしまうと思うけど、いやなら考え直す。」

「考え直すって?」

そして、スーッと扉が開く。

「別な話に書き直す。」

そう言って、先生はテーブルにあった原稿用紙を、束にし始めた。

慌てて先生の元へ戻る。

「コンクールに出すって言ってたけれど、間に合うの?」

「たぶん間に合わないと思う。」