「それにしても先生、変わりましたね。」

私の一言に、先生は頭をポリポリと掻いた。

「今は仕事してないからな。こんな格好になっちまう。」


えっ?

仕事してない?

私は一瞬、思考を止めた。


「ああ、もちろん貯金はあるから、しばらく食べる事には困らんけど。」

そう言って先生は、ニカッと笑う。

「この日焼けは……」

「これは少し前まで海の家で働いてたんだよ。」


先生が海の家?

益々わからなくなってくる。


「なははは!びっくりするよな。少し前まで国語の先生で、お前らに授業してたって言うのにな。」

そう言って先生は、のほほんと笑っている。

「仕事、探しているの?」

「いや、今はやりたい事があるから探してない。やりたい事が終わったら、また仕事すっかな。」


仕事って、そんな呑気にやったりやらなかったり出来るものなんだろうか。

少なくても私の両親を見ていると、そんな風には思えない。