いや、これまずいでしょう。

いくら私が女子高生だって、男の人に朝食を作らせるなんて。


私は拳をグッと握り締めると、先生の待つキッチンへと向かった。

「先生!」

「は、はいっ!」

驚き過ぎて先生はフライパンを、落としそうになっている。

「な、なに?」

「私が朝食を作ります!」

言った後、先生の目が点になる。

「えっ?」

「あ、いや……もう出来上がっているけど………」


側にある皿を見ると、そこにはウィンナーに目玉焼き。

加えてお味噌汁まで用意されていた。


「すごい……先生!」

あまりの手際の良さに、返って尊敬の眼差し。

「すごかないよ。ただ焼くだけだし。味噌汁インスタントだし。」

「でも!私はすぐに用意できないです!」

生意気にも誉めたつもりなのに、先生は馬鹿にしたような目。

「えっ?」

「お前、これくらいの事できなかったら、結婚できないぞ。」