「ううん。」

すると先生は急にこっちを向いて、私を胸元に抱きよせてくれた。

「そっか……それはよかった。」

すると近くから、また先生の寝息が聞こえてきた。


そう言えば誰かが言ってたっけ。

初めての時は、痛いものだと。

でも何でだろう。

痛かったような気もするけれど、気持ちよかった気もしないでもない。

正直、無我夢中で何も覚えていない。


何も?

何も?

覚えていない?


そしてポッと浮かんでくる、先生の視線。

私が快楽の波に呑まれている隙間から見た、身体を焼き尽くすような熱い眼差し。

思い出すだけで、私の身体は熱くなり、心臓は早くなった。


「お前、心臓の音うるさい。」

「えっ!!」

さっきの情事を思い出していたのがバレたと思って、益々心臓はバクバクと鳴る。

「顔、真っ赤だぞ。」

「いや!見ないで。」

途端に恥ずかしくなって、身体に掛けられていたタオルケットを奪って、自分の顔を覆った。