先生は私を見ながら、顔をクシャクシャにして笑った。

不覚にもその笑顔に、ドキッとする。

「これ、台所に持って行くね。」

私は食べ終わったお皿を重ねて持つと、台所のシンクの中に置いた。

「そのままでいいぞ。」

先生が後ろから覗いた。

「後で俺が洗うから。」

その表情が優しすぎて、胸の奥がモヤモヤする。

「でも、私何もしていないし……」

「んな事ないよ。」

もう一度先生を見ると、穏やかな表情をしていて。

私は先生の手に導かれるように、元いた席に座った。


「休んだら、家まで送るから。」

低い声で聞いたセリフが、私の胸の奥にくる。


なんて優しいんだろう。

ジーンときて、大人の男性の余裕に、いつしか私の胸はキュンキュン鳴っていた。


側ではタバコを吸っている先生がいる。

私が生徒だった事を忘れているのかな。

だとしたら、嬉しい。