「見たな。」

およそ教師とは思えない、動揺ぶり。

「見てません。」

「嘘つけ!!」

「見る前に、先生が取ったじゃないですか!!」

反論する私と、先生は睨めっこ。

高校生と睨み合うなんて、年甲斐もない。


「とにかくこの部屋にある物は、一切触るな。」

そう言われて、ようやく坐るスペースを見つけたけれど、目の前には煙草の山。

「先生、タバコ……」

「あっ、悪い。」

後ろから手を伸ばして、煙草が山積みにされている灰皿を持ち上げる。


フワッと香る大人の匂い。

おそらく香水だろう。

それが煙草の匂いと混じり合うことで、尚一層、大人の男性の匂いを醸し出していた。


「あった、あった。」

先生は雑誌の間から、一枚の用紙を取り出した。

「やっぱりだ。まだ出前間に合う。」

それは先生がいつも頼んでいる、出前のメニュー表らしい。

「何がいい?」