車から降りて、砂浜を歩く。

寄せては返す波が、居心地いい。

「綺麗………」

目の前の景色に気を取られて、足元がすくわれた。

「危ない。」

間一髪、腕を支えられて転倒を免れた。

「……有り難うございます。」

「ん。うん。」

しばらくしても、腕を離さない相手に、目が合う。

「えっ……」

「いや、気をつけろ。」

ぶっきらぼうに言い渡す先生が、返って可愛く見える。

照れたように、私の少し前を歩く先生。

波打ち際に着いて、テンションが上がった。


「先生、追いかけっこだよ。」

私は引いた波を追いかけ、寄せる波に濡れないように逃げた。

「はははっ!上手い、上手い‼」

私の遊ぶ様を見て、自分も面白くなったのか、先生も横に来て、一緒に追いかけては寄せる波に逃げた。

「ほら来た!」

特に勢いよく来る波には、二人で手を繋ぎながら逃げた。


この時間がずっと続けばいい。

そう思った時だ。