「【ドラゴンブレス】!」

 叫んで両手を突き出す俺。

 そのまんまなスキル名だ。
 要するに、ドラゴンブレスと同等、同質の攻撃を人間の体で繰り出すというものである。

 ごおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!

 俺の両手から青い光線が放たれた。
 もし俺が竜の体をしていたら、口から吐き出されていたであろう光線。

 その一撃がゴーレムを直撃した。

 ばちっ、ばちばちぃっ……!

 ゴーレムの全身に赤いフィールドが張り巡らされ、青いブレスを受け止める。

「ぐおおおおおお……っ」

 ゴーレムが吠えた。
 受け止めきれずに、奴の巨体が後退していく。

 俺のブレスが、押す。
 奴が、さらに後退する。

 そして――まばゆい爆光が弾けた。

「お、おのれ……」

 ゴーレムはボロボロだった。
 装甲はあちこち砕け、内部機構が露出している。

 バチッ、バチバチィ……とそこから火花が散っていた。

 爆発寸前といった感じだ。
 本気モードといっても、俺の【ドラゴンブレス】には耐えられないようだった。

「次で終わりだ」

 俺は止めを放つべく構えに入る。

「確かにすさまじい力……これはまさに竜王の力だ……」

 ゴーレムがうめいた。

「ならば、我が主はこれに呼応し、必ず地上に現れるだろう――」
「えっ」

 こいつ、何を言っている……?
 戸惑いつつも,俺は二発目の【ドラゴンブレス】を放った。

「ぬおおおおっ、おのれぇぇぇぇ……!」

 ゴーレムに対抗するすべはなく、中心部を貫かれて爆発四散する。

 青いブレスはさらに突き進み、地面を穿ち、その奥へと消えていく――。

     ※

 ごおおおおおおっ……!

 レオンが放った一撃は、ダンジョンの最下層――そのさらに下まで貫いて行った。
 岩盤を貫き、地層を貫き、そして……。

 ばしゅっ……!

 惑星の中心近くにある『その場所』へと到達する。
 そこはある存在を封印した場所だった。

 レオンの一撃を受け、封印に無数の亀裂が入る。

 ぴし……ぴしり……。

「おお……ようやく忌々しい封印が弱まった……!」

 内部から歓喜の声が響いた。

「もう少しだ……これなら自力で封印を破ることができる……待っていろ、もう少しで我はよみがえる――」

 不気味な声と哄笑が、響いていた。