冴えないおっさん、竜王のうっかりミスでレベル1000になり、冒険者学校を成り上がり無双

 おおおおおおんっ。

 ゴーレムが吠えた。
 戦闘態勢に入ったらしい。

「みんな、下がってろ」

 俺は一人で前に出た。

「レオンさん……」
「見た感じ、ちょっとやばそうだ。俺が一人でやる」
「へっ、ボスは自分で倒すって、美味しいところを自分だけで持っていきたいってことだろ! させるかよ!」

 俺の忠告を聞かずにジェイルが飛びだした。

「よせ!」
「うるせ! こいつは俺の獲物だ!」

 ジェイルはさらに加速した。

「【五月雨突き】!」

 高速の連続刺突を見舞うジェイル。
 さらに、

「【剛剣】!」

 パワーで薙ぎ払う剣術スキル。
 二つのスキルを連続して繰り出し、一気に勝負をかけるつもりか。

 おんっ。

 ゴーレムが小さく吠えた。
 体をひねり、長大な尾を振り回す。

 速い――。

 巨体の割に……しかも重い岩の体なのに、すさまじいスピードである。

「ひっ……」

 ジェイルは避けきれない。
 剣をへし折られ、そのまま吹き飛ばされた。

「が……あっ……!」

 岩壁に叩きつけられて意識を失うジェイル。

「大丈夫か!」

 俺たちは彼の元に駆け寄った。

「誰か治癒系のスキルを持ってないか」
「あ、私が――」

 メルが進み出て、ジェイルにスキルでの治療を施す。

「よし、そのまま治療を続けてくれ。他のみんなもここで待機。巻き込まれないようにな」
「レオンさんは?」
「当然――」

 マナの問いに、俺は竜人型ゴーレムを見据えた。

「奴を片付ける」
「レオンさん一人で……? いくら何でも無茶だよ!」

 マナが叫んだ。

「今までのモンスターとは全然レベルが違うよ! 見れば分かるじゃない!」
「やばそうなら逃げるし大丈夫! マナたちも治療が終わったら、いちおう逃げる準備だけはしておいてくれ」

 俺は彼女たちに言った。

「さすがに、今度の奴はなかなかやばそうだ」

 とはいえ、俺は竜王の力でレベル1000に達している。
 なまなかなモンスターでは、俺に太刀打ちできるはずもないが――。

 ……違う。
 俺の中の何かが言っている。

 このモンスターは根本的に何かが違う、と。