俺たちは破竹の快進撃を続けた。
 あっという間に最下層まで到達する。

「すご……全然苦戦せずにここまで来ちゃった」
「さすがレオンさんです……」

 ローズとメルは驚くことしきりといった感じだ。

「ちっ、とんでもねー奴だな……」

 ジェイルが俺をにらんでいる。

「……そう簡単には超えられないか」

 ボソッとつぶやく。

「ん?」
「な、なんでもねーよ。お前のこと、別にすごいとか思ってないんだからなっ」

 なぜか顔を赤らめて叫ぶジェイル。

「???」
「ふふ、口ではなんだかんだ言っても、レオンさんのことを尊敬してるんじゃない? ジェイルくんってそういう一面あったんだ」

 マナがクスリと笑った。

「うるせ」

 ムッとした様子のジェイル。

「誰がこんな奴を尊敬するか。ただの目障りな壁だ。いずれぶっ潰す」

 ま、そういう言動がジェイルらしさだな……。



 俺たちはさらに進んだ。

「よくここまで来たな! 誉めてやろう!」

 巨大なシルエットが前方から現れた。
 頭に角を備えた、身長五メートルほどの巨人。
 右手に巨大な棍棒を持っている。

「こ、これがダンジョンボス……!」

 俺以外のパーティメンバー全員が震えていた。

「さすがに簡単にはいかなさそう……」
「オーラが違いますよね、オーラが……」
「ひえええ……」
「び、びびってねーし!」

 ローズ、メル、マナ、ジェイルがそれぞれつぶやく。

「けっこう強そうだな」

 俺はゆっくりと間合いを詰めた。

 いちおう油断は禁物だ――。

 があっ。

 モンスターが咆哮ととともに棍棒を振り下ろす。
 俺はそれを片手で受け止めた。

 がああっ!?

 モンスターは動けない。
 俺ががっしりと棍棒をつかんで離さないからだ。

 それだけの圧倒的なパワー差があった。

「強そうだけど……こんな程度か」

 どうにでもなりそうだ。

「ほい」

 俺はパンチ一発を繰り出し、そいつの胴体部を貫いた。

 どうんっ……!

 一瞬遅れて爆発四散するモンスター。

「えええええええええええええっ!?」

 メンバー全員が驚きの声を上げた。

「ボスっぽい奴まで一発で倒しちゃった……」
「ちょっと強さがでたらめすぎない……
「なんか……簡単にクリアできちゃったね……」

 女子三人はいずれも呆然とした様子。

「く、くそ、なんて野郎だ……」

 一方のジェイルはどこか悔しげな態度だった。
 と、

 ずん……ずずんっ……!

 地響きを立てて、何かが近づいてくる。

「あれは――」

 全長十メートルくらいだろうか。
 全身が岩でできたゴーレム系の魔物。
 ただし、その頭部は竜の形をしており、背中からは翼を模したパーツが生えていた。

 いわば、竜人型ゴーレム。

「えらくゴツいのが出てきたな……さっきのはボスじゃなかったのか?」

 俺は眉を寄せた。