「ならば、より上位のドラゴンブレスで消し飛ばすまで!」

 暗黒竜王の口から、今度は金色のブレスが吐き出された。

「受けよ、【終末の極光(ラグナロクバースト)】!」

 ばしゅぅぅっ……!

 俺が放った火炎魔法は、新たなドラゴンブレスによって消し飛ばされてしまった。
 こいつ、もっと威力が強いブレスを隠し持っていたのか。

「飛び道具については、なかなかだ。では、今度は──接近戦を試してやろう」

 言うなり、近づいてくる暗黒竜王。

「いや、接近戦って……」

 相手は身長100メートル越えなんだが。

「どうした、怖気づいたか?」

 ドラゴンが長大な尾を振るう。
 こんなの、まともに受け止められるわけがない。

 どうする──。

 考えるより先に、頭の中に一つのスキルのイメージが浮かび上がる。

「スキル──【拳圧】!」

 俺は夢中でパンチを繰り出した。
 その風圧がすさまじい衝撃波となって駆け抜ける。

 どごぉぉぉぉっ!

 大音響とともに、ドラゴンの尾を跳ね返した。
 よし、これなら直接触れなくても肉弾戦ができる!

「おおおおおおおっ!」

 俺は拳で、蹴りで、次々と衝撃波を繰り出した。
 それを平然といなす暗黒竜王。

 さすがに──強い。

 俺たちの攻防に合わせて大気が震え、地面が揺れる。
 周囲に何もない世界だから分かりづらいけど、俺の一撃一撃ってどれくらいの威力が出てるんだろう?

 と、視界が金色に染まった。

「──ブレスか!」

「接近戦とてドラゴンブレスを使わないとは限らんぞ。さあ、対処してみせろ!」

 吠える暗黒竜王。

 ちいっ、この至近距離じゃ──。
 迫る黄金のブレスを、俺はまっすぐに見据える。

 力を、示す。

 俺がリンからもらった力を。

 ボウッ!

 全身から青いオーラが立ちのぼった。

 そうだ、俺の中に宿っているのは『竜の力』なんだ。
 もしかしたら──。

 あることを思いつき、俺は大きく息を吸う。

「何、まさか──」
「食らえっ!」

 そして、裂帛の気合とともに吐き出す。

 俺の口から、ドラゴンブレスを。

 青く輝くブレスは、黄金のブレスに激突し、互いに消滅した。

「ほう……まさか我が最強のブレスの一つ、【終末の極光(ラグナロクバースト)】をかき消すとは。面白い。面白いぞ、人間。想像以上だ!」

 暗黒竜王が哄笑した。

「いいだろう。この我とここまでの時間、渡り合えた者は久しぶりだぞ。文句なしの合格だ」
「合格……?」

 それじゃあ──。

「教えてやろう。お前に。竜王が生み出せしパワーレベリングの術式を。そのすべてを」


※ ※ ※

以前になろうに投稿していた分はここまでです。
以降から新規原稿となります。近日中に続きを投稿する予定ですので、今しばらくお待ちください……!