「す、すごい、ジェイルに完勝……!」
「レオンってこんなに強かったのか……!」
「オッサンも侮れないな……!」
「ちょっとカッコよかった……!」

 などと、試合を終えた俺に、周囲から驚きや賞賛の声が聞こえてきた。
 正直、ちょっと気持ちいい。

 で──模擬戦、二試合目。

「剣術スキル──【剛剣】!」

 俺は全力で剣を振り下ろした。

「ひ、ひいっ……」

 対戦相手は体がすくんで動けないようだ。
 俺は途中で剣の軌道を変え、相手の足元に剣を叩きつける。

 ごがああああああああああああああっ!

 大音響とともに、闘技場の床が砕け散った。

「あ、しまった……これでもやり過ぎだったか」

 とっさに、相手に剣を当てないような軌道に変えて正解だったな。
 もし当てていれば、大怪我どころじゃ済まなかったかもしれない。



 模擬戦、三試合目。

「ま、参りましたぁっ!」

 試合開始と同時に対戦相手がギブアップした。

「あ、えっと……はは」

 俺は思わず苦笑い。

「すごかったね、レオンさん」

 闘技場を下りると、マナが駆け寄ってきた。

「三連勝できてよかったよ。マナは?」
「私は二勝一敗。なんとか立て直せたよ」
「そっか、よかったな」
「えへへ」

 俺たちは和気あいあいと笑いあう。

「あんた、めちゃくちゃ強いんだな」
「あたし、見直した~」
「特にジェイルとの試合がすごすぎ!」

 と、他の生徒たちも寄ってきた。
 誰もが目を輝かせ、俺に称賛の視線を注いでいる。

 すごかった。
 強かった。
 かっこよかった。

 ──と。

 ほんと、冒険者学校に入ったころには考えられなかった反応だ。

 今までの人生では何もパッとせず、冴えない少年時代を経て、冴えないオッサンになった俺だけど──。
 竜王の力をもらって、大きく変わり始めた気がする。

 目の前にまっすぐな道が開けている感覚。
 これから進む先に、光り輝く何かが待っているような期待感。

 俺は生まれて初めて、自分の人生に──胸を張ることが出来るかもしれない。