曖昧な、恋人未満の関係が続く中。

 蒼太の気持ちをはっきりさせたかった私は、彼を試すつもりで、陽介とキスをした。


 軽い気持ち、遊びのキスだったのに。

 それを蒼太に見られていて。

 彼の容態が悪化したらしく。

 その一週間後に、蒼太の命は消えてしまった。



 私たちは蒼太に、二重の苦しみを与えていたことを知った。

 ただでさえ、病気で辛い時期だったのに。さらに苦しませてしまった。

 それなのに、彼の死が自分たちのせいではないと思い込もうとしていたのだ。


 このことは私と陽介、二人だけの秘密。

 陽介の双子の弟・朝陽(あさひ)にすら打ち明けていなかった。

 いっそのこと、誰にもばれないうちに、私も星になりたいとさえ願った。



「また、流れ星……」


 二度目の流れ星を目撃したあと、唐突に思い出す。


「──あ。蒼太の花壇に、水をあげるの忘れてた」

「……そういえば、そうだったな」


 自然が大好きで、草花を育てるのが趣味だった蒼太は、緑化委員に入り、花壇の手入れをしていた。


『さやか。花の水やり、俺の代わりにお願いできる?』


 まるで、私が蒼太の後を追おうとしていたことを、先回りして止めてくれたかのようだった。