ある日を境につばさは危険な目に合う事となった。

社長の婚約者が、最新の注意を払ったにも関わらず、つばさの存在を嗅ぎつけたのである。

つばさは往来の激しい道に後ろから突き飛ばされたり、車にひかれそうになったりと、

危険な事が降りかかって来た。

その度に俺は身を呈してつばさを守った。

「つばさ、大丈夫か」

「大丈夫、目黒くんありがとうね」

そしてある日、つばさにナイフを持った男が近づいて来た。

俺はつばさとその男の間に割って入り、つばさの命は救われた。

しかし、そのナイフは俺の脇腹に刺さり、おびただしい出血で辺りは血の海と化した。

「目黒くん、しっかりして、どうしよう、今救急車が来るからね」

その場でその男は取り押さえられて、社長の婚約者の回し者だとわかった。

俺は入院を余儀なくされた。

つばさは毎日お見舞いに来てくれた。

この俺が他人の為に命の危険にさらされる事になるとは誰が予想出来ただろうか。

このつばさとの時間が俺達の運命を大きく変える事になるとは、この時は気付く事が出来なかった。

つばさは社長の事は口にしなくなった。

しばらくの間、入院しなくてはいけないが、この時間が二人の距離を縮めることになった。