つばさは俺の元を離れないと勝手に思い込んでいた。

しかし、俺の言葉は信じて貰えず、友達程度にしか思っていなかったと気づいた。

社長の強引な熱情に負けた。

しかし、どうしてもつばさを諦められなかった。

俺は社長に婚約者がいることを突き止めた。

「つばさ、社長が好きなのか?」

「目黒くん、ごめんね」

「社長には婚約者がいるんだぞ、それでも着いていくのか」

「嘘でしょ、婚約者」

つばさは知らなかったと見えて、ショックを隠しきれない様子だった。

「つばさは騙されているんじゃないのか、都合のいい女になっているんじゃないか」

「だって結婚を視野に入れてるって言ってくれたんだよ」

つばさは狼狽えている表情を見せていた。

俺は必死だった。

卑怯な手を使ったと思うが、この時の俺は手段など選んでいる程の余裕はなかった。

「つばさ、俺と結婚しよう」

「えっ?」

つばさは驚いた様子で俺を見つめた。