そこへ兄貴が入ってきた。

「おい、ここはホテルじゃないぞ」

「鷹見先生」

つばさは顔を真っ赤にして、俺から離れた。

「兄貴、黙って入ってくるなよ」

「ば〜か、ここは病院だぞ」

俺とつばさはお互いに顔を見合わせた。

俺が毎日病院に顔を出す様になると、つばさに笑顔が戻り、容態も安定してきた。

「そろそろ退院しても大丈夫だな」

「よかったな、つばさ」

「でも、絶対に無理はダメだ、容態が悪くなったらすぐに連絡してくれ、いいな」

そしてつばさは退院した。

決して無理はしないと約束して。

俺は相変わらず忙しい日々を過ごしていた。

若き御曹司の社長就任とメディアは騒ぎ立てた。

いろいろな業界の人との対談もあり、特に同世代のコスメの会社の女社長とは、対談の機会が多く、週刊誌はツーショットを狙い、俺たちの動向に注目していた。

俺は恋多きプレイボーイとネタの宝庫の様で、何かと話題に上った。

そして心配していた通り、週刊誌に熱愛発覚と報じられた。