俺は飛鷹建設を退社し、目黒コーポレーション新社長に就任した。

親父の容態はあまり良くない。

仕事が始まると、定時で帰るなど、甘い考えだと思い知らされた。

マンションに帰ると、いつも時計の針が零時を回っていた。

つばさはいつも食事を用意してくれて、お疲れ様とメモを残してくれる。

朝もつばさが寝ている間に出勤する。

最近つばさと会話が無い事に気づいた。

俺は無理を言って休みを貰った。

それは俺が新社長就任してから一ヶ月ほど経っていた。

「つばさ、おはよう」

「侑斗、今日はゆっくりで大丈夫なの?」

「いや、今日は休みを貰った」

つばさはニッコリ微笑んで「じゃあ、今日はゆっくり休んでね」と言ってくれた。

「今日は、つばさを労う日だから、何をしたい?」

「それじゃ侑斗の休みの意味がないでしょ」

つばさは小さな子供に言い聞かせる様な口調で俺に意見をした。

「じゃあ、つばさを一日中抱きしめたい」

「えっ?」

俺はそう言ってつばさを抱き抱えて寝室に戻った。

そしてつばさとキスをした。

一ヶ月ぶりのつばさとのキスに胸が熱くなった。