それから程なくして、親父が倒れた。

俺は目黒コーポレーションに呼ばれた。

「侑斗様、社長が倒れた今、侑斗様に新社長に就任して頂きたいのですが・・・」

「それは構わないのですが、妻が体調を崩しておりますので、定時で業務を終わりたいので、よろしくお願いします」

役員連中が集まった会議室が騒ついた。

社長就任早々定時とはとでも思ったんだろう。

俺にとって一番はつばさだ。

悪いが、親父の会社がどうなろうと、どうでもいいと思っている。

マンションに戻ると、つばさが食事のしたくをしていた。

「つばさ、無理しなくて大丈夫だぞ」

「今日は気分がいいの、もう食べるでしょ、手を洗って来て」

久しぶりにつばさの手料理を食べる事が出来ると、俺はテンションが上がった。

「会社でお話しは何だったの?」

「親父が倒れたから、俺に新社長に就任してくれって」

「そう、忙しくなるね」

「定時で帰ってくるから大丈夫だよ」

つばさは驚いた表情で俺を見た。

「ダメよ、お仕事はちゃんと熟さないと」

「つばさには逆らえないな」

つばさは頑張ってと俺を励ましてくれた。

それから、目黒コーポレーション新社長の仕事が始まった。