つばさは子宮全摘出の手術を受ける事になった。

辛く、苦しい抗がん剤治療も続け、後は転移しない様に祈るしかなかった。

つばさは取り敢えず退院する事が出来た。

マンションへ戻ると、つばさは気持ちが弱くなっているためか、笑顔も消えていた。

そんな時、親父が俺の結婚を聞きつけ、つばさに会いたいと言って来た。

「つばさ、親父に会いに行くの付き合ってくれるか」

「気に入っていただけるか、自信ないよ」

「大丈夫、もう写メ見せてるから、すっげー気に入ってたよ」

つばさは久しぶりに笑顔を見せた。

俺の実家に向かった。

「おお、来たな、侑斗、久しぶりだな」

「ご無沙汰しております、お元気でしたでしょうか」

「ああ、見ての通りだ、そちらがつばささんだね」

つばさは緊張の面持ちで挨拶をした。

「はじめてお目にかかります、つばさと申します」

親父はにこやかな表情でつばさを見つめた。

「侑斗はわがままな息子だが、心優しいいい男だ、わしの息子だからな」

「はい、いつも優しくして頂いています、わがままなのは私の方です」

「そうかい、仲良くしているならいい、早く孫の顔を見せてくれ」

つばさは答えにつまり俯いた。

「親父、俺達、まだ新婚なんだから、孫はしばらく先だよ」

「そうか、でもつばささんは可愛らしいから、侑斗は毎日迫ってくるだろう」

つばさは俺に助けを求めた。

「親父、そんな事言ってるとつばさに嫌われるぞ、そろそろ帰るな」

「失礼します」

俺達は実家を後にした。