しばらくして俺は兄貴から呼び出された。

「つばさちゃんだが、取り敢えず腫瘍を取り除いて腫瘍の病理診断をしてみないとな」

「良性なら問題ないのか」

「取り敢えず、経過観察になるが、悪性だとそれなりに治療しないとな」

この時久しぶりに兄貴の真面目な顔を見た。

「悪性でも兄貴なら治せるだろ?名医だろ」

「無理言うな、しかし最前の努力はする」

それからつばさの検査が始まった。

入院中俺は毎日つばさの病室へ行った。

「つばさ、会社の総務部の連中が頑張ってって言ってくれたよ」

「そう、心配かけちゃって、なんか悪いな」

「早く元気にならなくちゃな」

つばさは小さく頷いた。

「そうだ、今度つばさに渡す物があるから、楽しみにしてな」

「渡す物?」

つばさはわからない様子だった。

次の日、俺はつばさに渡す物を持って来た。

「つばさ、これ」

俺はつばさに小さな包みを渡した。

つばさは「開けていい?」と言いながら包みを開けた。

「侑斗、ありがとう、すごく嬉しい」

俺はつばさの左手の薬指に結婚指輪をはめた。