「侑斗、落ち着いて、鷹見先生は関係ないから」

「ほんと、本当に兄貴を好きになったんじゃないの?」

「違うよ、ちゃんと話すから、落ち着いて聞いてね」

侑斗は落ち着きを取り戻した。

私は大きく深呼吸をして話を始めた。

「私、生理不順があって、体調も悪かったから産婦人科を受診したの」

侑斗はビックリした様子で、「大丈夫なの?」と取り乱した。

「大丈夫よ、婦人科系の疾患で、治療のため薬を服用するの」

「そうしたら治るの?」

「うん、ちょっと時間かかるけど」

侑斗は何が問題なのか全く理解していない様子だった。

「その事と結婚出来ない事と何が問題あるの」

「私、妊娠出来ないかもしれない」

侑斗はまだ理解出来ない様子だった。

「侑斗はいずれ社長になる人だから、子供を残さなければいけないでしょ」

「別に残さなくてもいいんじゃないかな」

私は驚きを隠せなかった。

「大丈夫だよ、それより病気を早く治さないといけないな」

「侑斗」

優しい侑斗の気持ちに、涙が止まらなかった。