「つばさ、兄貴はプレイボーイだから、あいつの言う事は信じるな、いいな」

つばさはニッコリ微笑んで「よく似てる」と俺を見つめた。

「誰が誰に似てるって」

俺はムッとした表情を見せた。

「侑斗とお兄さんとそっくり」

つばさは笑いを堪えながら答えた。

「似てねえよ、不愉快だ」

俺は兄貴とそっくりと言われて、どこがと怒りに似た感情が湧いた。

そう、何故これだけ俺が兄貴を敵視するのか、それは俺が結婚を考えていた程の女性を奪われたからだ。

現在、兄貴の妻である鷹見由子、俺の義理の姉である。

由子とは結婚を考えていた。

しかし、兄貴が俺から由子を奪った。

確かに由子の気持ちをとどめるだけの俺の愛が足りなかったのは事実であった。

でも、由子は鷹見総合病院を継ぐ医者との結婚を義務付けられていた。

当時兄貴はメキメキと腕を上げ、由子の親に認められる様に努力はしていたのは事実であった。
由子も兄貴を選んだのも事実だ。

俺の努力はどうだったか、はっきり言ってわからない。
今言える事は、つばさは誰にも渡さない、それだけの努力も惜しまない。

俺は人生最大のピンチを迎えていた。