「ごめん、俺、目黒コーポレーションの次期社長が決まってるんだ、俺には兄貴がいるんだが、外科医でさっさと好きな女性と結婚して、跡継ぎは任すとか言って、俺が引き継ぐ事になっちゃって」

「侑斗は目黒コーポレーションの社長になるの?」

「今すぐって訳じゃないけど」

つばさは一点を見つめて、考えこんでいた。

「つばさ、俺達は何も変わらないよ」

「私、侑斗とは付き合えないよ」

「どうして?」

俺は目の前が真っ暗になるような感覚に陥った。

「きっと婚約者が決まってる」

「飛鷹社長と一緒にするなよ、俺は違う」

「それに、ひと回りも上なんて、反対されるし、後継者を残すのに、若い奥さんがいいに決まってる」

つばさは取り乱していた。

「つばさ、落ち着いて、こっちにおいで」

俺はつばさの手を引き寄せ抱きしめた。

「大丈夫、俺には婚約者なんかいないし、社長になってもつばさと結婚する、後継者のことは気にしなくていいから」

つばさの手は小刻みに震えていた。