「大丈夫、今度祐くんとお祖母様を連れて来るね」

「ああ、頼む」

病院の先生に呼び出されて、会わせたい人がいたら今のうちに会わせてあげてくださいと言われたからだ。
程なくして私はお祖母様と祐くんを病院へ連れて来た。

「颯さん、大丈夫?」

「すみません、ご心配をおかけして」

「パパ、大丈夫?」

「ああ」

「凛、悪いが祐と二人にしてくれないか」

「わかりました」

そして、病室で彼と祐くんの二人になった。

「祐、大人になったら凛を守ってくれと頼んだ事、覚えているか」

「覚えてるよ」

そして、彼は祐くんに指輪を託した。

「祐、お前が二十歳になったらこの指輪を凛に渡してくれ」

「うん、任しといて」

「よし、このことはお祖母ちゃんと凛には内緒だ、男と男の約束だ」

「うん、大丈夫だよ」

お祖母様と祐くんは病院を後にした。

あれから彼と私の関係はと言うと、彼のマンションで一緒に暮らしている。
結婚はしていない。
こんなに早く、彼の容態が悪化するなんて思っても見なかった。