私の申し出に対して彼は目を細めて答えた。

「あいつのところに泊めて貰えばいいだろ?」

「だって好きじゃない男性の部屋に泊まる訳には行かないから、だから颯の部屋に泊めて?」

彼は少し考えて答えた。

「それなら俺の部屋もまずいんじゃないか」

「だって颯のことは大好きだから問題ないよ」

彼は信じられないと言った表情を見せた。
私は「颯、お願い」と顔の前で両手を合わせて懇願した。

「一晩だけな」

私は思わず笑顔になり「ありがとう」と言った。
彼は照れた表情を見せて、マンションに入れてくれた。

「荷物どうしたんだ」

「まとめてアパートに置いてあるの、明日中に部屋空けないといけないから、取りに行かないと」

「そうか、あいつに一緒に取りに行って貰えばいいんじゃないか」

彼はそう言って私から視線を逸らした。

「だから、廉とはなんでもないから」

「なんでもないのにキスしてたのか」

彼は声を荒げて私に食ってかかった。

「キスなんてしてないよ」