「俺のマンション」

颯のマンション前に戻って、雨が降ってきて、そこから覚えていない。

「あいつのマンション前で急にぶっ倒れたんだ、だから俺のマンションに運んだ」

「ごめんなさい、迷惑かけて」


「あいつの側にいるのは、相当大変なんじゃないか」

私はなんて答えていいかわからず俯いた。

「もし良かったら話してみろよ」

私は廉に彼の事を話し始めた。

「バツイチ子持ちのカリスマ美容師」

「子供いるのか?」

「しかも血の繋がりがないの」

「はぁ?」

「それで彼はあと余命一年」

「余命一年?」

誰だって驚くよね、私が一番驚いているんだから……

「凛、マジに目を覚ませ、お前何考えてる」

「だって好きになっちゃったんだもん、もう戻れないよ」

廉はふっと息を吐き言葉を発した。

「凛、あいつの側にいても一年しかいられない、そのあと子供は凛が見るのか?」

「うん」

「十年前から全然変わってないな、どうしていつも凛は考えないで行動しちゃうんだよ」