彼は私に背を向けたまま、涙声でそう訴えた。

「いや、颯と離れたくない、颯が好きなの、颯と一緒にいる事が私の幸せなの」

「俺はずっと凛と一緒にいてやれない、だから……」

「少しでもいいから、お願い、颯」

私は涙が止まらなかった。

「凛、ごめん、俺はお前の人生に責任を持てない」

彼は私の手を振り解いて、オートロックのドアの向こうに消えた。
私は立つ気力さえも失い、その場に座り込んだ。

廉が私の肩を抱いて、支えてくれた。
そして私を車に乗せ、その場を後にした。

彼はオートロックのドアの向こうから、去っていく車を見送り、「凛、幸せになってくれ」と呟いた。

なんでこんな事になったの?
私は自分の軽率な行動を呪った。
誰のせいでもない、全て自分が悪いのだから。

廉は私の手を握り、「俺のマンションに行こう」と私に囁いた。
私は何も考えられず、途方にくれた。

廉のマンションに近づいた時我に返った。