「俺には凛を俺だけのものにする資格がない」

「私は颯が他の女性にキスしたり、抱きしめたりするには嫌、颯が好きだから」

「凛、すごく嬉しいよ、嘘でもそう言ってくれて感謝してる」

私は彼の言葉に驚きを隠せなかった。
颯は私の颯に対する気持ちは同情だと思っているんだとはっきりわかった。



「颯、颯を好きな気持ちは嘘じゃないよ、一緒にいたいって思ってる」

「無理するな、アパートを解約しなかったのも、俺と一緒に暮らす気持ちが無かったからだろう」

「違う、それはただ私がのんびりしていただけ」

「それに元彼に抱き寄せられた時も、俺がその場に居合わせなかったら、キスくらいしてたんじゃないか、大好きだったんだよな、元彼の事」

そんな事思っていたなんて、しばらく呆然として言葉が出てこなかった。

「ごめん、言い過ぎた」

彼は小刻みに震えた手を自分の手でギュッと握りしめた。
私は思わず颯を抱きしめた。