彼は私の頬を両手で挟み、じっと見つめ、おでこにキスをした。

「ごめん、凛を嫌いになる訳がないよ、俺は凛に甘えてばかりで凛の気持ちを考えていなかった、だから俺はわがままを言うのを我慢しようと思ったんだ」

「わがままを我慢?」

「ああ、だからこれからは凛は今まで通りアパートに住んで、そうだな、週に一回くらい俺の休みにデートしてもいいかなって凛が思ってくれた時に会う事にしようかなって」

「毎日颯に会いたかったら、マンションに来てもいいの」

「凛、無理しなくていいんだ」

「無理なんかしてない」

「もし、俺と会いたくなければ、会わなくてもいいし……」

彼の声は震えていた。
嘘ついてる、すごく我慢してやっとの思いで言葉を絞り出してると感じた。

「颯は私と会えなくても平気なの?」

「平気じゃないけど、凛を縛る事は出来ないよ」

「じゃあ、私が他の人とデートしてもいいの」

彼の顔色が明かに変わった。
唇を噛みしめ、俯いた。

「私が他の人のものになっても平気なの?」